詩経 (中国古典新書)

詩経は、唐代に黄金時代を迎える事になる漢詩の源流であり、中国最古の詩集であり、また古代から現代に至るまで学問の基礎、欠くべからざる教養等として、多くの人々から重要視されてきました。紀元前12世紀から紀元前6世紀半ばまでの数百年間、すなわち今から2500年～3000年位前に、作られた詩であると言われています。詩経の意味は古来「毛伝」「鄭箋」「集伝」による解釈が伝統的でしたが、近年古代文字の解明が進むにつれ、詩成立当時の社会背景が明らかになり、従来の解釈では捉えられていなかった全く新しい意味、例えば古代の祭の描写である等、が明らかになり、まさに詩経の解釈は一新されようとしているそうです。本書をお薦めするのは、本書では詩本体の後で、伝統的解釈を一度振り返り、その上で最新の解釈について述べられていますが、素朴な古代の風景や心情がありありと伝わって来、なんと素晴らしいのだろう、と思ったからです。構成は、下段に白文（返り点はあり）上段に訓読文が書かれており、次に漢字の意味が簡潔に書き留められていて、その後日本語訳、解釈、という順になっています。☆お薦めの読み方☆まず訓読文を見ないようにして字義や文法を考えながら白文を読んでみます。読み方（特に音読み）がわからない字は上を見ても大丈夫です。次に漢字の意味を読んで、もう一度白文を読んでみます。そうすると本来の詩の持っていたあらゆる良さが伝わってくるでしょう。その後解釈を読み、もう一度白文を読んでみると、おお、古代の風景が浮かび上がってくるようです。（私は訓読文と日本語訳は結局見ませんｗｗ）私、外では電話を眺める習慣がないもので、外食時などメニュー等を見てぼーっとしていると、周りの方が皆電話を眺めておられてどうすれば良いのかわからなかったのですが、本書を携行するようになって万事解決しました！素朴な民謡である、という点も外食時にはぴったり、普段の殺伐とした心につかの間の休息を与えてくれます。まさにこの現代を生きるには必携の書ではないでしょうか。